槇垰理事長
第57代理事長
槇垰守貢

・温故知新

昨年、私たち社団法人萩青年会議所は創立55周年を迎えました。55年という月日の流れを思うとき、順調な時より困難な時の方が多かったに違いありません。

未曾有の経済不況の中、「想定外」の東北大震災の発生と原子力発電所の事故、輝かしい未来のある子どもたちのすぐ傍にある深刻ないじめ問題など、まるでこの地球が人間の存在を欲していないのではないか疑いたくなるほどの混沌と混乱そして悲嘆が私たちを取り巻いています。

しかし、私たちは決して絶望しません。なぜならば、いま以上の艱難辛苦を先人たちが乗り越えた結果が現在として連綿とつながる、その中にまた私たちもいるからです。

55年に及んで培われてきた諸先輩方と地域社会との連携は、社団法人萩青年会議所の財産として私たちに受け継がれています。故きを温ねて新しきを知るの言葉を今一度噛み締めて新しい56年目への船出をしたいと思います。

・山河襟帯

私たちの住むこの萩は、三方を緑豊かな山に囲まれ、眼前には荒々しくも碧く澄んだ日本海が横たわり、その自然の恵みは人々の生活を潤してきました。人にも恵まれてきました。毛利輝元の萩入府以来、この地は防長二か国の中心地となったのみならず、吉田松陰先生の教えを受けた多くの弟子が近代日本の礎を築きました。

自然に恵まれ、人に恵まれた萩は、全国各地、いや世界各国から静かで美しいまち、穏やかで温かいぬくもりのあるまちといわれて称賛されています。

しかし、内側からみたわがまち萩はどうでしょうか。市内の高等学校を卒業した9割以上の若者が萩を離れ、国内最速ペースで過疎化が進み、目新しい産業は興らず、現実的な意味での世代交代は進まず、旧態依然とした社会構造が残っている、わがまち萩。

美しい自然と豊かな実りは人々からとりあえずの不安を隠し、今のままでいることを担保し、維新胎動の威光という昔日の栄華に酔い面目を保っています。

・一期一会

萩。このまちで生きていると、ともすれば日常に追われ流され、不安を感じながらも今日と変わらない明日が続いていくような錯覚に囚われそうになります。みなさんは、誰かがこのまちを変えてくれる、良くしてくれると思っていませんか。しかし、最初から何かに頼る気持ちでいると誰も助けてはくれません。まさに「神は自らを助くるものを助く」なのです。私たち青年会議所の会員ひとりひとりは、わがまちの未来を自らのこととして捉え、率先して責任と気概をもって地域を創造するリーダーとして活動してまいります。空が青いことは誰でも知っています。しかし、昔みた空の青さは今見ている空の青さと一緒だったでしょうか。そして、次の瞬間に見上げる空の色は今みた青の空ではない。知識や古い固定観念に縛られて、物事に新鮮さを感じなくなったと思うとき空を見上げ、あたりまえと思っている物事の中にこそ、新しい発見や感動があると気付かされます。そしてそのとき、人間は瞬間瞬間に感動して生きていける生きものだと感じるのです。そして、瞬間瞬間を積み重ねていくことが生きていくということだと思います。人との出会いをはじめ、ものごとすべてとの出会いを大切にして、新鮮さと感動のある活動を推進してまいります。

・切磋琢磨

いつもと変わらない、あたりまえと思っている日常から新たな気付きを得ることは簡単なことではないと思います。鋭敏な感覚と的確な状況判断、そして毅然とした行動と謙虚な姿勢。これらは、日々の自覚からしか身に着けることができません。自利利他の精神でお互いに刺激しあい、それぞれが自覚しない能力を見出し、人間形成をしていくということを会員全員、一致団結して行っていきたいと思います。

そうすることで、ひとりひとりが輝ける我が青年会議所が築けるものと信じます。最後には達成感や喜びがなければ会議所活動の意味がありません。喫緊の問題として、会員拡大がありますが、会員ひとりひとりが煌いていなければ、これから青年会議所に入ろうとする人たちに熱意をもって会員拡大をすることはできません。自信をもって自分の所属している萩青年会議所を勧められるように、会員全員が危機感をもって会議所活動に取り組んでいきましょう。

・煌く瞬間へ〜now or never〜

本年度のスローガンを、「煌く瞬間へ〜now or never〜」といたしました。青年会議所は、その活動を通じて何か得るものがある、達成感や楽しさを共有できるものでなければ、続けていくことはできないと思います。リーダーであろうがフォロワーであろうが、ひとりひとりが人生の主役であるのと同じように、それぞれが青年会議所においても主役であってほしいと願います。自分が煌けば自分の周りを、地域を照らすことができる。そしてその明るさは、伝播し全体が煌く社会が開けてくるはずです。そしてその行動を起こすのはいましかないのだと自覚し、覚悟と気概をもって邁進していきたいと思います。

社団法人萩青年会議所活動に対し、多くの皆様の御支援と御協力をお願いして、理事長所信といたします。新たに始まる本年1年間、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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