理事長所信

「人を育て地域社会と国家の健全な発展を目指し、資質の向上と啓発に努めるとともに国際的理解を深め世界の平和と繁栄に寄与する。」
萩青年会議所はその為にあります。
第61代理事長・横山武志先輩が「守破離」とスローガンを掲げ、青年会議所の守るべき型とは何なのかを学び考えました。たどり着いたところは、大きく2つ。一つは、文頭にあげた定款に記されている組織としての目的やその理念。もう一つは諸先輩方が築き上げてきた歴史でした。
諸先輩方が築き上げてきた歴史。表現を変えるとそれは財産です。その財産のお陰で、私たち現在の会員は活動できています。そのことに私たちは感謝しています。そして財産は全てが正の財産とは限らず、負の財産もあり、負の財産は信用と引き換えに保てます。
しかしながら、現在私たち萩青年会議所の社会的信用はどうでしょうか。定款にある目的に向かって活動している組織として信用を得ているのでしょうか。

まちづくりは人づくり
資質とは、生まれ持った性質という意味と、その人が持つ能力値という意味があります。萩青年会議所で使われる資質は後者であり、人としての能力値を高め、地域社会と国家の発展に寄与する人材となること、またそのような人材を育てることを目的としています。
歴を長くしてご卒会された先輩が「JCは部活だ。」と言われました。年々その意味が奥深いことに気付かされます。部活の大目的は「人間形成」にあり、付随して、資質の向上や掛け替えのない仲間づくり、いわば個人の将来のためにあり、その相乗効果が地域社会や国家の発展に繋がるものだと私は認識しています。
そして、部活には属性と位置付けがあります。日本の頂点を目指す部活もあれば、全国大会出場を目指す部活、そのジャンルを嗜み楽しむサークルのような部活。もちろん、そこに善悪はありません。50の資質を100に伸ばせることは輝かしいものですが、1の力を2に伸ばすことも社会的には重要なことです。難しいところでは、1を2にすることを目的としている者が、100になることを目指す環境に身を置くことは苦渋でしかなく、100を目指している者が、2になることを目的にしている環境に身を置くことは耐え難いでしょう。

さて、現在、日本の地方都市の多くは、人口減少・少子高齢化が地域現象となり、生産力低下による持続可能性の危機が地域問題となっています。皆さんの多くはお子さんがおられますが、存続が危ぶまれるところに、お子さんを属させたいと思われますでしょうか。また、お子さん自身が存続の危機にある環境に身を置くことを両手放しで喜べますか。

想像してください。

器が小さくなったときに、消滅していくのは、どのようなところからでしょか。日本の頂点を目指すところに位置していた部活が全く全国大会に出場できなくなれば…、全国大会出場を目指している部活が県大会にも出られなくなれば…、そのジャンルを嗜み楽しむことを目指した部活が苦渋ばかりとなれば…。そのギャップが信用を無くし、衰退を進め、消滅へと向かわせます。どの属性も位置づけにも善悪はありませんが、消滅してしまえば、伝統はおろか将来もありません。
私たち萩青年会議所が抱える問題。会員減少に伴い、やらなければならないことに追われ、発展に寄与という目的のための活動が効果を表しづらくなっていることです。これは地方の青年会議所の多くが抱える問題であり、青年会議所だけなく地方自治体や町内会等、あらゆるコミュニティが抱える問題でもあるかと思います。

先達は言われます。「縮小するのは社会に必要とされていないからだ。」と…。地域社会や国家の発展を目的としているのに社会に必要とされていない。それは、市民・国民が発展を求めていないからでしょうか。
先達は言われます。「青年会議所は青年会議所らしく変わらず、それで無くなったら無くなったらで良いじゃないか。」と…。青年会議所らしくあり続け消滅するということに矛盾は生じませんか。

伝統は繋ぐものであり守るものではない。
私も今年この萩青年会議所を卒会します。20年後、次世代の青年に向かって「僕は青年会議所時代こんなことをやってきたぞ。今は無いけど。」と言いたくはありません。未来の歴史に「何千年も存続した奇跡の国家・日本の消滅」と記述されたら悲しいです。
これは私の願いです。私個人に、国家はもちろん、地域社会はおろか、この萩青年会議所を発展させる力はありません。しかしながら、存続していくことができれば、大きな発展への可能性を次世代に託すことはできます。萩青年会議所を繋いでいくために、存続していくために何をするべきか、それを見出すことが2018年理事長としての指針です。そして、その答えへ導くものとは、目的感の創造と共有にあると私は考えます。

変革は危機感からではなく好奇心から生まれる。
人は目的を抱けず受動的行動による成長より、目的を抱いた能動的行動による成長のスピードの方が3倍速いと科学的に証明されています。今いる会員の中で、「青年会議所で○○の発展を目的にこれをやりたい。」と掲げる会員は稀有です。ましてや理事長になりたいと思う人は、私が知る限り1人しかいません。

私自身、昨年6月19日までは理事長は遠慮したいと思っていました。そんな私が理事長になりたいと思えたのは、現在、日本一と評価されている江津青年会議所の例会に視察に行ってからです。島根県江津市は人口2万4千人の自治体で、5年前訪れたときは、駅前も寂れ、商店街もシャッターが閉じている店ばかりの状態でした。しかしながら昨年訪れたときには、駅前の開発が進み、企業誘致も成功し、地方創生のモデルケースとなる自治体に変貌していたのです。そして、その発展の中心に存在していたのが、8年前20人ほどまで減少し、現在80名を越える会員を有する江津青年会議所でした。

何故、そのような変貌を遂げることができたのかを伺ったところ、答えは至ってシンプルでした。成長・発展に繋がる組織となるために、必要な変革を進めていったというだけでした。
具体的には、女性も参画できるよう例会時にはベビーシッターを雇い、生産性をあげるよう深夜までお酒を飲むことを止め、生産性の伴わない出費と労力を削減していったということです。
面白いもので、その取り組みにより、勢いがなくなった同好会活動が活性化するだけでなく、新たな同好会も多発し、自由参加である懇親会も多くの会員が率先して参加するといった、反転から更に反転し、本来、あるべきであろう青年会議所の姿に戻っていたのです。また、まちづくりを目的とするNPO法人や任意団体の方だけでなく、OBの方も、自らの事業所の社員に入会を薦め、その活躍を窺いに例会に出席する。行政関係者も行政の取り組みを例会でプレゼンし、青年会議所との協働を図る。そこに正のスパイラルが働いているのを感じさせていただきました。

同じ山陰地方、ましてや人口は半分以下。江津にできて萩にできない理由はない。萩青年会議所も目的感を創造し、共有することで数年後には、日本一の青年会議所になれるのではないか。私の中で、存続への危機感は一変して「華夷弁別」の可能性への好奇心に変わり、「我慢比べのような環境を変えてほしい。」と願う仲間の声に応じようと決心した次第です。

最後に…
私にはモットーがあります。この萩で20代より地域活性化活動に励み、この町が良くなるためには、どうあればいいのかを考え続けました。
その答えは、そこに住む誰もが、「青は藍より出でて藍より青し」が連続していくよう努めれば良いだけだと結論付けています。
自らに関係する自らより若い世代は自分より優秀であるべきで、自分の弟子や後輩が自分より優れた人材になってもらうことが先達の責務であるべきだと思います。
「自分たちの時代は素晴らしかった」はノスタルジーであり、過去に身を寄せることは発展に繋がりません。「次世代の方が素晴らしい」の方が誉れであり、次世代の活躍こそが現代に活動するものの評価ではないでしょうか。

いくら伝統があっても、古豪の弱小クラブと呼ばれては現役もOBも悲しいものです。
萩市にある中高の部活が全て全国レベルであれば、住人は誇りに思い、期待し、大切に思う次世代を信用し預けることができる。それは経済的にも助かるだけでなく、地域外から越境進学する若者も増え、地域経済の発展にも繋がります。人が集まり、交流が増えれば、成長に繋がる刺激と経験が生じます。
伝統は守るものではなく繋げるもの。行きつくところは何千年前も古来より伝わってきていること。
温故創新の心を以って、60年前の原点へ回帰し、明るい豊な社会を築く活動を繋げていく。
自分たちのためにでもなく、先達のためでもなく、萩青年会議所が将来のための団体でありつづけることを求め、この1年活動していく所存であり、ご賛同いただける全ての方に、ご協働、ご協力、ご支援賜りたく思います。

特定の人ではなく、多くの人が意義を感じることができる組織へ。
青年が志願して入会する組織への一歩目を歩む。